2015-03-11

[.tested] TI CC2541 Sensor TagのデータをIBM Bluemixで処理するためのセンサーゲートウェイ [BX1]

この1月24日,25日に、天王洲のSamurai Startup Islandにおいて、

「IoTハック新年会2015」

を行いました。
このイベントは、IBMとSamurai Incubateが共催で『日常生活で使うモノ』をテーマ行うアイディアソン、ハッカソンで、クラウド環境としては、IBM BlueMix、デバイスとしては、TI CC2541センサータグ、ゲートウェイとして、OpenBlocks BX1を用意しています。

今回は、上記ハッカソンで使用した、OpenBlocks BX1側のTI CC2541 SensorTagデバイスゲートウェイ実装方法について紹介します。



OBDN技術ブログによる動作検証は、該当するデバイスやソフトウェアの動作について、保証およびサポートを行うものではありません。
内容に関するご指摘などありましたら、ブログ記事の担当までご連絡下さい。

<検証環境>
OpenBlocks IoT BX1 Debian wheezy 7.8 / kernel 3.10.17-poky-edison

1. 事前準備


・ネットワークへの接続

BX1を外部ネットワークに接続可能な状態にします。本体にSIMを入れることにより3G通信も可能ですが、開発環境の構築や、パッケージの入手などはWifi環境に接続するか、USB分岐ケーブルにUSB-Etherアダプタなどを利用して有線LAN接続することをおすすめします。

以下、WebUIのない、先行開発キットでの事例となります。

・bluetoothの設定

Bluetoothは、初期状態ではblockしてありますので、rfkillコマンドによりunblockしてください。
具体的には、以下の手順で手動で行うか、

# bluetooth_rfkill_event &
# rfkill unblock bluetooth

以下の3行をrc.localに追加します。

bluetooth_rfkill_event &
sleep 1
rfkill unblock bluetooth

・開発環境および関連ツールのインストール

node.jsをビルドするためには、開発環境が必要です。(IO開発ボード付きセットの場合は開発環境をプリインストールしています)
また、今回必要になるパッケージ類を以下の手順でインストールします。

# aptitude update
# tasksel install standard
# aptitude install build-essential
# aptitude install git

・node.jsのインストール

node.jsはdebianのパッケージを使用せず、最新版を以下のサイトから入手し、ビルドしています。

Node.js

# wget http://nodejs.org/dist/v0.12.0/node-v0.12.0.tar.gz
# tar xvzf  http://nodejs.org/dist/v0.12.0/node-v0.12.0.tar.gz
# cd node-v0.12.0
# ./configure
# make -j3
# make install

2. センサーゲートウェイソフトウェアの構築


IBM Internet of Thingsの以下のレシピページより、BeagleBone用のゲートウェイプログラムを入手します。

Texas Instruments BeagleBone with SensorTag - Internet of Things:

# git clone http://github.com/ibm-messaging/iot-beaglebone

以下のディレクトリに移動し、setup.shを編集し、checkInstall bluezの行をコメントアウトします。
(bluezはすでにインストールされているものを使用します。debian wheezyのaptで導入されるものは、BLEに対応していないバージョンのため使用しません)

     :
# checkInstall bluez
checkInstall libbluetooth-dev
  :

編集後、setup.shにより、動作環境の構築を行います。

#./setup.sh

次に、ゲートウェイプログラム本体の若干の修正を行います。
これは、beaglebone向けに書かれていて、データを受け取りLEDを点滅させる記述があるのですが、 このLEDの点灯処理部分だけをコメントアウトしてしまいます。
ここは、OpenBlocksのLEDの仕様で書き換えれば同様にBluemix側からLEDの点灯処理ができるのですが、今回は行っていません。

# vi iot_sensortag.js

50行以下を以下の様に編集します。

// LED functions
// run asynchronously, callbacks just trap unexpected errors
function ledWrite(extra, content, callback) {
//  fs.writeFile(ledPath+extra, content, function(err) {
//      if (err) throw err;
//  });
//  if (callback) callback();
}

2. センサーゲートウェイソフトウェアの起動


TI CC2541 SensorTagを用意し、編集したJavascriptプログラムを起動します。

root@bx1:~/iot-beaglebone/samples/nodejs# node iot_sensortag.js
Press the side button on the SensorTag to connect

メッセージに従い、センサータグのサイドボタンを押すと、接続を行い、BluemixへMQTTによるデータ送信を開始します。

root@bx1:~/iot-beaglebone/samples/nodejs# node iot_sensortag.js
Press the side button on the SensorTag to connect
SensorTag connected
Discovering services and characteristics
Device name = TI BLE Sensor Tag
System id = 34:b1:f7:0:0:d5:d5:2a
Serial number = N.A.
Firmware revision = 1.01 (Feb  7 2013)
Hardware revision = N.A.
Software revision = N.A.
Manufacturer name = Texas Instruments
Enable IR temperature
Enable accelerometer
Enable humidity sensor
Enable magnetometer
Enable barometer
Enable gyroscope
MQTT clientId = d:quickstart:iotsample-ti-bbst:98f170697445
MQTT Connected
Sending data
MAC address = 98f170697445
Go to the following link to see your device data;
http://quickstart.internetofthings.ibmcloud.com/#/device/98f170697445/sensor/

3. Bluemix側の設定


Bluemixは、試用期間が30日あり、登録して30日間は無料ですべての機能を試すことが出来ます。
(無料期間終了後は、クレジットカードの登録が必要ですが、375GB時間までは無料で使用できるようになっています)

カタログのボイラープレートより、左上のNode-Redを使用したInternet of Things Foundationアプリケーションを選択します。


インスタンスを起動します


最初に簡単なサンプルプレートがありますので、この左側のIBM IoT App Inに、上記で立ち上げたゲートウェイソフトウェア起動時に表示されるMAC Addressを入力します。


Deployし、すぐ右にあるDevice Dataのdebugタブを引き出すと、右のDebugウィンドウに、センサータグからデータがJSON形式で送信されていることが確認出来ます。


 様々な機能が用意されていますので、あとはPaaS側で処理を作成していくことになります。
この環境はそのまま実稼働環境へと移行させることも出来ます。


4. 最後に


今回は、TI CC2541 Sensor Tagを利用した例を紹介しました。
ibeacon仕様のビーコンタグのデータをBluemixへ送信するテストプログラムも作成していますので、次回ご紹介します。

2014-11-25

OpenBlocks IoT BX1 ハンズオン開催中

OpenBlocks IoT BX1のハンズオンDayを正式にスタートしました。

今週より、BX1本体およびDockBoard(ES版)との組み合わせにてご利用いただけます。

 
天王洲アイル、Samurai Startup Islandにて毎週水曜日(10:00-18:00)に開催。
予約制となりますので、以下の開催概要にそってご予約下さい。
当日でも空いていれば予約可能です。

現在ほぼマンツーマンのハンズオンとなっており、使用できるセットも限られているため、多人数となる場合は、早めにご連絡いただき、機材などの調整をさせてください。


------

「ハンズオンDay」開催概要

  • 実施内容
    当社IoT向けマイクロサーバー「OpenBlocks® IoT BX1」を使用したハンズオンです。
    実際にOpenBlocks® IoT BX1の実機や開発環境に触れながら基本操作の確認や、アプリケーション開発、システム構築に必要となる事項の事前サーベイなどが可能です。

    参考:OpenBlocks® IoT BX1特設サイトURL
    http://openblocks.plathome.co.jp/products/special/bx1_sp/
  • 対象となる方
    IoTのアプリケーション開発や、センサーデバイス接続開発、IoTサービス開発などを検討している方に最適です。
  • 開催スケジュール
    原則、毎週水曜日に実施致します。詳細なスケジュールは下記URLよりご確認下さい。
    http://goo.gl/vUxmwv
  • 参加方法
    機材の都合上事前予約が必要となります。開催スケジュールをご確認のうえ、当社WEBサイトの参加申込フォームよりお申込み下さい。

    参加申込フォームURL
    https://openblocks.plathome.co.jp/form/bx1_handson/input.html
  • 参加費用
    無料です。
  • 開催場所
    Samurai Startup Island
    住所:東京都品川区 東品川2-2-28 Tビル2F
    アクセス:天王洲アイル駅より徒歩5分
    http://samurai-startupisland.asia/access

2014-10-08

OpenBlocks IoT BX1 開発者向け情報など

OpenBlocks IoTファミリ BX1を発表しました。

M2M・IoTシステムの構築に最適な極小サイズのマイクロサーバー「OpenBlocks® IoTファミリ BX1」を発表

OpenBlocksシリーズは、従来より複数のLANポートを持ち小型堅牢かつ汎用のLinux環境を提供するマイクロサーバとして、ネットワークの監視管理、ゲートウェイなど、様々なシーンで利用していただいていましたが、今回のBX1シリーズにおいては、Wifi/3G/BlueTooth(BLE対応)を標準サポートした、無線通信に重点を置いた製品となっています。

発表ではスケルトンカバーに入った製品としてお見せしていますが、まずは内部写真をここに公開します。


カバーは試作品のため、スケルトン仕様となっていますが、製品ではホワイトとなる予定です。


外部コネクタ。上部がオプション有線接続用端子となり、ケーブルを交換することにより、USB(有線LAN含む)、シリアル(RS-232C/RS-485)、GPIO(最大19ポート)に対応します。
下部がSIMスロットです。


標準でUSBケーブルが添付します。本ケーブルはUSB側からの給電と、シリアル通信をサポートしており、PCに接続する場合は、 USBシリアル経由のコンソールとして見えます。


本体基板の裏側です。


本体基板の上部写真です。

本体の仕様は以下の通り。

CPU モデル インテル® Atom™ プロセッサー 500MHz (デュアルコア)
動作速度 500MHz (デュアルコア)
メインメモリ オンボード 1GB (LPDDR3)
FLASH ROM 4GB (eMMC)
内部インターフェイス 3G(W-CDMA)※1
Bluetooth 4.0
Wi-Fi (IEEE802.11a/b/g/n)
外部インターフェイス USB 2.0(Type-A)ケーブル
GPIO (最大19ポート) オプションケーブルにて対応
シリアル 1ポート RS-232C/RS-485
寸法 (mm) 41.6mm(W)x 96mm(D)x 11.3mm(H)(突起部含まず)
電源 DC 5〜48V
出荷時OS Debian GNU/Linux

※1 NTTドコモ FOMA網に対応予定。他通信事業者向けも検討中。

開発環境は、Debian GNU/Linuxを標準でサポートし、従来のOpenBlocksシリーズと同様に、実機ベースでの手早い開発環境をBXでも提供していきたいと考えています。

提供時期ですが、開発者向けに、本体と各種IOを外だし出来るボードをセットにしたDPパッケージを先に提供し(時期は未定)、製品としては2月を予定しています。

展示会の情報などは、以下のページでご案内しています。

特設サイトURL:
http://openblocks.plathome.co.jp/products/special/bx1_sp/

Facebook:

https://www.facebook.com/OpenBlocksIoT



現在、DPパッケージのリリースに前後して、いち早く製品をご覧いただけるよう、ハンズオンdayやハッカソン、アイディアソンなどを企画しておりますので、日程が決まり次第またお知らせします。


2014-08-08

[.tested] OpenECHO [debian Wheezy][AX3][A7][A6]

OpenECHOは、ECHONET LiteをJavaで実装したライブラリであり、以下のサイトで公開されています。


今回は、OpenBlocks A7の内部GPIOポートを用い、ECHONET Lite対応機器として、簡単な実装を行ってみました。

OBDN技術ブログによる動作検証は、該当するデバイスやソフトウェアの動作について、保証およびサポートを行うものではありません。
内容に関するご指摘などありましたら、ブログ記事の担当までご連絡下さい。

<検証環境>
OpenBlocks A7 Debian 7.5 kernel:3.2.54

1. ハードウェアの準備


今回は、A7の基板上に実装された内部GPIOポートを利用しました。

(A6の場合は、背面よりGPIOポートが接続可能です。AX3の場合は、GPIOのポートがないため、USB-GPIOアダプタなどを利用する必要があります。 )


実際に何か照明機器を接続するといいのですが、今回は、LEDを抵抗(470Ω)と直列に接続しています。

A7の内部GPIOピンは、以下の配置になっています。

1: MPP17(GPIO_17)
2: MPP7 (GPIO_7) ※PD禁止
3: MPP29 (GPIO_29)
4: MPP28 (GPIO_28)
5: MPP35 (GPIO_35)
6: MPP34 (GPIO_34)
7: MPP40 (GPIO_40)
8: 未使用
9: 外部リセット入力
10: GND

ピンの配置
| 9| 7| 5| 3| 1|
|10| 8| 6| 4| 2|

今回は、P7(GPIO 40)へLEDを接続しました。

2. ソフトウェア (一般照明機器としての設定)


A7を一般照明機器としてセットアップする方法です。

今回は、新たにGPIO回りのライブラリを作成せず、簡単なセットアップで試しました。

・GPIOデバイスの作成

GPIOデバイスは、以下の手順により操作可能となります。
今回、プログラム上では、この設定を行っていませんので、下記の手順を実行した後、評価プログラムを起動させてください。

# cd /sys/class/gpio
# echo 40 > export
# cd gpio40
# echo out > direction

ポートのON/OFF(LED点灯)テストは以下の操作により行います。

# echo 1 > value
# echo 0 > value

・OpenECHOによるサンプルプログラム

今回は、以下のサイトのプログラムの一部を修正して使用しました。

 Howto : ArmadilloでECHONET Lite (まとめ)

ellight.jarのソースパッケージである、ellight.zipを展開して、Netbeans IDE 8.0により修正、ビルドしてください。
今回、A7に搭載されたJREが、

Java(TM) SE Embedded Runtime Environment (build 1.7.0_40-b43, headless)

となりますので、JDKも7を導入して指定しています。


MyLighting.javaを書き換えます。

package ellight;

import com.sonycsl.echo.eoj.device.housingfacilities.GeneralLighting;
import java.io.BufferedReader;
import java.io.IOException;
import java.io.InputStream;
import java.io.InputStreamReader;
import java.util.logging.Level;
import java.util.logging.Logger;

public class MyLighting extends GeneralLighting {
    byte[] mStatus = {0x31};
    byte[] mMode = {0x41};
    byte[] mLocation = {0x00};
    byte[] mVersion = {0x01, 0x01, 0x61, 0x00};
    byte[] mFaultStatus = {0x42};
    byte[] mManufacturerCode = {0x00, 0x00, 0x00}; /* 未定義 */

    @Override
    protected boolean setOperationStatus(byte[] edt) {
        Runtime rt = Runtime.getRuntime();
        Process pr = null;
        try {
            /* LEDをON/OFF */
            if (edt[0] == 0x30)
                pr = rt.exec(new String[]
                             { "/bin/sh", "-c",
                               "echo 1 > /sys/class/gpio/gpio40/value" });
            else if (edt[0] == 0x31)
                pr = rt.exec(new String[]
                             { "/bin/sh", "-c",
                               "echo 0 > /sys/class/gpio/gpio40/value" });
            if (pr != null)
                pr.waitFor();
            /* 状態をECHNET Lite送信 */
            inform().reqInformOperationStatus().send();
        } catch (InterruptedException | IOException ex) {
            Logger.getLogger(MyLighting.class.getName()).log(Level.SEVERE,
                                                             null, ex);
        }
        return true;
    }

    @Override
    protected byte[] getOperationStatus() {
        try {
            Runtime rt = Runtime.getRuntime();
            /* LEDの点灯状態を取得 */
            Process pr = rt.exec("cat /sys/class/gpio/gpio40/value");
            InputStream is = pr.getInputStream();
            BufferedReader br = new BufferedReader(new InputStreamReader(is));
            String line = br.readLine();
            if (line != null && line.equals("0"))
                mStatus[0] = 0x31;
            else
                mStatus[0] = 0x30;
        } catch (IOException ex) {
            Logger.getLogger(MyLighting.class.getName()).log(Level.SEVERE, null, ex);
        }
        return mStatus;
    }

    @Override
    protected boolean setLightingModeSetting(byte[] edt) {
        mMode[0] = edt[0];

        try {
            inform().reqInformLightingModeSetting().send();
        } catch (IOException ex) {
            Logger.getLogger(MyLighting.class.getName()).log(Level.SEVERE,
                                                             null, ex);
        }
        return true;
    }

    @Override
    protected byte[] getLightingModeSetting() {
        return mMode;
    }

    @Override
    protected boolean setInstallationLocation(byte[] edt) {
        mLocation[0] = edt[0];

        try {
            inform().reqInformInstallationLocation().send();
        } catch (IOException ex) {
            Logger.getLogger(MyLighting.class.getName()).log(Level.SEVERE,
                                                             null, ex);
        }
        return true;
    }

    @Override
    protected byte[] getInstallationLocation() {
        return mLocation;
    }

    @Override
    protected byte[] getStandardVersionInformation() {
        return mVersion;
    }

    @Override
    protected byte[] getFaultStatus() {
        return mFaultStatus;
    }

    @Override
    protected byte[] getManufacturerCode() {
        return mManufacturerCode;
    }
}

ビルドしたパッケージを以下の構成でA7に転送します。

# ls -lsR
.:
total 16
4 -rw-r--r-- 1 root root 1323 Jul 17 13:29 README.TXT
8 -rw-r--r-- 1 root root 5395 Jul 16 17:54 ellight.jar
4 drwxr-xr-x 2 root root 4096 Jul 17 13:29 lib

./lib:
total 1040
1040 -rw-r--r-- 1 root root 1061315 Jul 17 16:02 OpenECHO.jar

起動方法は以下の通りです。

# java -jar ellight.jar

3. ソフトウェア (コントローラ)


コントローラとしては、Kadecot [公開実験版]を利用させてもらいました。
Androidマシンを用意し、PlayStoreよりアプリをダウンロードして使用します。


 Kadecot: 機器のリスト画面



画面の照明機器をクリックすることにより、本体のLEDの点灯制御を行っています。

3. さいごに


今回はOpenECHOを評価するのが目的でしたので、GPIO回りの実装は、最低限動作確認出来る程度のものとなっています。

2014-06-16

[.tested] Wireshark [debian Wheezy][AX3][A7][A6]

GUI版のネットワークアナライザ、WiresharkをOpenBlocks Aシリーズで利用するためのTipsです。

 Wireshark · Go Deep.:

<検証環境>
Debian 7.1 Wheezy
OpenBlocks AX3/4 kernel: 3.2.54
OpenBlocks A7 kernel 3.2.54

<使用機器>
OpenBlocks AX3 DPパッケージ (もしくは、SSD搭載モデル)
OpenBlocks A7 DPパッケージ (もしくは、SSD搭載モデル)

1. 導入前の準備


OpenBlocks Aシリーズは本体にグラフィック表示機能を持ちません。
X環境を導入するためには、USB VGAディスプレイアダプタを利用するか、X端末ソフトウェアなどを利用する必要があります。

USB VGAディスプレイアダプタについては、以下の記事を参考にしてください。

【.tested】RATOC REX-USBDVI2 ディスプレイアダプタ [Debian Wheezy][AX3][A6]

X端末ソフトウェアの導入方法に関しては、SourceForgeの以下の記事などを参考にしてください。


2. Wiresharkの導入


debianのパッケージを導入します。
 
#aptitude install wireshark

3. 動作確認


メニューより起動するか、xtermなどからwiresharkを直接起動します。

wiresharkは、セキュリティ上のポリシーから、rootで直接起動することを推奨していません。
rootで起動した場合は、以下の警告メッセージが出力されます。



そのため、一般ユーザでログインして、wiresharkを立ち上げることになりますが、 dumpcapというパケットキャプチャプログラムに許可を与える必要があります。
wireshark wikiのページにもありますが、以下の方法で設定します。

# setcap 'CAP_NET_RAW+eip CAP_NET_ADMIN+eip' /usr/bin/dumpcap

ただし、このFile Capabilitiesの仕組みは、aufsでは対応しておらず、aufsによるOpenBlocksのディスク共有モードで利用する場合は、setcapによる許可が与えられません。
( 一つの解決策としては、dumpcapに+sしてしまうという方法もありますが、前提から考えても、お勧めできません)

ユーザモードによる動作を行いたい場合は、aufsではなく、ext4などのファイルシステムでシステムを構成する必要があります。
rootfsの変更方法に関しては、以下の記事にて解説しています。

OpenBlocks Aシリーズ rootfs変更方法 (FlashROMブート) [debian Wheezy][AX3][A7][A6]
 
今回は、ext4にて作成したrootfsに変更することにより、dumpcapのFile Capabilityを変更しました。

表示画面は以下のようになります。



なお、上記の画面は、Xmingを利用し、OpenBlocksにはwiresharkだけをインストールして使用しています。

4. さいごに


今回は、wiresharkの利用方法についてご紹介しました。
GUIを使用しない場合、tsharkもdebianのパッケージとして提供されていますので、お試しください。

2014-06-09

[.tested] Planex GW-450D 無線LANアダプタ [AX3][A7][A6]

Planex GW-450Dは、802.11ac/n/a/g/bに対応したUSB無線LANアダプタです。
GW-450Dは、写真の小型のタイプと、稼働式アンテナのついたGW-450D KATANAがありますが、アンテナ以外は同一の設計の製品と思われます。
Openblocks AX3およびA7での動作検証を行いました。


OBDN技術ブログによる動作検証は、該当するデバイスの動作を保証およびサポートを行うものではありません。
内容に関するご指摘などありましたら、ブログ記事の担当までご連絡下さい。

<検証環境>
OpenBlocks AX3/4 Debian 7.5 kernel: 3.2.54
OpenBlocks A7 Debian 7.5 kernel:3.2.54

1. 対応ドライバと事前準備


GW-450Dは、MediaTek MT7610Uを採用しており、現在AX3およびA7/A6に搭載されたカーネル3.2.54ではサポートされていません。
Planex社の以下のページにおいて、開発者向け情報が公開されています。

開発者向け情報|無線LAN USBアダプタ|プラネックス:

ドライバのソースコードは、上記のページよりダウンロードできますが、今回はチップセットメーカであるMediaTek社のホームページよりダウンロードし、OpenBlocks向けにビルドしました。

・カーネル構築環境の導入

本ドライバは、ビルドする際に、カーネルの構築環境を参照するため、build-essentialsによる開発環境の構築のみでは、ドライバのビルドが出来ません。
以下の手順を参考に、カーネルのソースを導入し、make modules_installまでを行っておく必要があります。

カーネルのカスタマイズ手順について(非公式版) [AX3][A6]

・ソースコードの入手と展開

以下のページの、7610U USBよりファイルをダウンロードして下さい。

Downloads - MediaTek:

ダウンロードしたファイルは以下の手順で解凍してください。

# tar jxfv mt7610u_wifi_sta_v3002_dpo_20130916.tar.bz2
# cd mt7610u_wifi_sta_v3002_dpo_20130916

common/rtusb_dev_id.cを編集します。
同じバージョンのドライバパッケージを使用する場合は、以下のdiff出力をpatch適用して下さい。
アップデートにより内容が変更されている場合は、参考にして書き換えてください。

diff -u rtusb_dev_id.c.orig rtusb_dev_id.c
--- rtusb_dev_id.c.orig 2014-06-09 15:18:30.209980000 +0900
+++ rtusb_dev_id.c      2014-06-09 15:19:43.299980000 +0900
@@ -36,6 +36,7 @@
 /* module table */
 USB_DEVICE_ID rtusb_dev_id[] = {
 #ifdef MT76x0
+       {USB_DEVICE(0x2019,0xab31)}, /* MT7610U */
        {USB_DEVICE(0x148F,0x7610)}, /* MT7610U */
        {USB_DEVICE(0x0E8D,0x7610)}, /* MT7610U */
        {USB_DEVICE_AND_INTERFACE_INFO(0x0E8D, 0x7630, 0xff, 0x2, 0xff)}, /* MT7630U */

os/linux/config.mkを編集し、wpa_supplicantのサポートをyにします。

# diff -u config.mk.orig config.mk
--- config.mk.orig      2014-06-09 15:22:00.759980000 +0900
+++ config.mk   2014-06-09 15:22:17.039980000 +0900
@@ -23,12 +23,12 @@

 # Support Wpa_Supplicant
 # i.e. wpa_supplicant -Dralink
-HAS_WPA_SUPPLICANT=n
+HAS_WPA_SUPPLICANT=y


 # Support Native WpaSupplicant for Network Maganger
 # i.e. wpa_supplicant -Dwext
-HAS_NATIVE_WPA_SUPPLICANT_SUPPORT=n
+HAS_NATIVE_WPA_SUPPLICANT_SUPPORT=y

 #Support Net interface block while Tx-Sw queue full
 HAS_BLOCK_NET_IF=n

変更後、make および installを行います。

# make install

README_STA_usbを参考に、コンフィギュレーションファイルをコピーします。

# mkdir /etc/Wireless/RT2870STA
# cp RT2870STA.dat  /etc/Wireless/RT2870STA/RT2870STA.dat

A7の場合は、デバイスをUSBポートに差し込めば認識するのですが、AX3の場合は、ubootが設定したvmallocのサイズの関係で、ドライバがvmallocに失敗したというメッセージを出し、起動しません。
起動時に一旦ubootに入り、

# openblocks> setenv miscargs vmalloc=200M

として、拡張する必要がありました。

デバイスは、/dev/ra0となります。

ra0       Link encap:Ethernet  HWaddr 00:22:cf:e2:4d:39
          inet addr:192.168.10.95  Bcast:192.168.10.255  Mask:255.255.255.0
          inet6 addr: fe80::222:cfff:fee2:4d39/64 Scope:Link
          UP BROADCAST RUNNING MULTICAST  MTU:1500  Metric:1
          RX packets:247723 errors:9 dropped:0 overruns:0 frame:0
          TX packets:1591 errors:0 dropped:0 overruns:0 carrier:0
          collisions:0 txqueuelen:1000
          RX bytes:62913475 (59.9 MiB)  TX bytes:128084 (125.0 KiB)

起動時に立ち上がらない場合は、
/etc/modulesに
mt7650u_sta
を追加してください。

2. wpasupplicantパッケージの導入および設定


以下の記事を参照して下さい。

[.tested] Logitec LAN-W150N/U2WH(BK) 無線LANアダプタ [AX3]

以下の通り、クライアントモードでの動作を確認しました。

# iwconfig ra0
ra0       Ralink STA  ESSID:"******"  Nickname:"MT7610U_STA"
          Mode:Managed  Frequency=2.412 GHz  Access Point: 00:1D:73:C2:F4:00
          Bit Rate=108 Mb/s
          RTS thr:off   Fragment thr:off
          Encryption key:9394-8D4B-D889-F2A3-0EF7-E943-73A8-719C [3]   Security mode:open
          Link Quality=64/100  Signal level:-73 dBm  Noise level:-73 dBm
          Rx invalid nwid:0  Rx invalid crypt:0  Rx invalid frag:0
          Tx excessive retries:0  Invalid misc:0   Missed beacon:0

3. さいごに


今回は、クライアント接続のみのテストとしています。
AP化に関しては、hostapdが本アダプタをサポートしておらず、また、realtek社の様に専用のhostapdの配布もされていないため、今回は特に追いかけていません。
新たな情報が入り次第、追記させていただきます。

[.tested] Planex GW-450S 無線LANアダプタ [AX3][A7][A6]

Planex GW450Sは、802.11ac/n/aに対応した5GHz帯専用のUSB無線LANアダプタです。
Openblocks AX3およびA7での動作検証を行いました。


OBDN技術ブログによる動作検証は、該当するデバイスの動作を保証およびサポートを行うものではありません。
内容に関するご指摘などありましたら、ブログ記事の担当までご連絡下さい。

<検証環境>
OpenBlocks AX3/4 Debian 7.5 kernel: 3.2.54
OpenBlocks A7 Debian 7.5 kernel:3.2.54

1. 対応ドライバと事前準備


GW-450Sは、Reaktek 8811AUを採用しており、現在AX3およびA7/A6に搭載されたカーネル3.2.54ではサポートされていません。
Planex社の以下のページにおいて、開発者向け情報が公開されています。

開発者向け情報|無線LAN USBアダプタ|プラネックス:

ドライバのソースコードをこのページのリンクからダウンロードし、OpenBlocks向けにビルドする必要があります。
(2014/06/06現在、Reaktek社の製品情報ページからは8811Uの情報が検索出来ません)

Realtek社のチップセットに関しては、以下の記事で行った手順にて検証作業を行います。

[.tested] Planex GW-USValue-EZ/GW-USWExtreme/GW-USNano2 無線LANアダプタ [AX3][A6]

・カーネル構築環境の導入

本ドライバは、ビルドする際に、カーネルの構築環境を参照するため、build-essentialsによる開発環境の構築のみでは、ドライバのビルドが出来ません。
以下の手順を参考に、カーネルのソースを導入し、make modules_installまでを行っておく必要があります。

カーネルのカスタマイズ手順について(非公式版) [AX3][A6]

・ソースコードの入手と展開

展開には、unzipが必要となります。

# aptitude install unzip

上記、Planex社の開発者向け情報より、Linux版のソースコードを入手します
ダウンロードしたファイルは以下の手順で解凍してください。

# unzip gw-450s_driver_linux_v424.zip
# cd gw-450s_driver_linux_v424
# unzip RTL8811AU_linux_v4.2.4_9533.20131209.zip

このパッケージは、ターゲットが対応する機器ならば、作成されたディレクトリへ移動し、
install.shによりインストールが行えるのですが、Openblocksは対応機器にありませんので、
以下の手順によりドライバパッケージのコンパイルおよびインストールを行います。

# cd RTL8811AU_linux_v4.2.4_9533.20131209
# cd driver
# tar xvzf rtl8811AU_linux_v4.2.4_9533.20131209.tar.gz
# cd rtl8811AU_linux_v4.2.4_9533.20131209

Makefileを編集します。
同じバージョンのドライバパッケージを使用する場合は、以下のdiff出力をpatch適用して下さい。
アップデートにより内容が変更されている場合は、参考にして書き換えてください。

# diff -u Makefile.orig Makefile
--- Makefile.orig       2014-06-06 10:02:14.427254000 +0900
+++ Makefile    2014-06-06 10:05:18.947254000 +0900
@@ -52,7 +52,8 @@
 CONFIG_LOAD_PHY_PARA_FROM_FILE = y
 CONFIG_ODM_ADAPTIVITY = n

-CONFIG_PLATFORM_I386_PC = y
+CONFIG_PLATFORM_I386_PC = n
+CONFIG_PLATFORM_OBS_ARM = y
 CONFIG_PLATFORM_ANDROID_X86 = n
 CONFIG_PLATFORM_JB_X86 = n
 CONFIG_PLATFORM_ARM_S3C2K4 = n
@@ -709,6 +710,17 @@
 CROSS_COMPILE ?=
 KVER  := $(shell uname -r)
 KSRC := /lib/modules/$(KVER)/build
+MODDESTDIR := /lib/modules/$(KVER)/kernel/drivers/net/wireless/
+INSTALL_PREFIX :=
+endif
+
+ifeq ($(CONFIG_PLATFORM_OBS_ARM), y)
+EXTRA_CFLAGS += -DCONFIG_LITTLE_ENDIAN
+SUBARCH := $(shell uname -m | sed -e s/i.86/i386/)
+ARCH ?= arm
+CROSS_COMPILE ?=
+KVER  := $(shell uname -r)
+KSRC := /lib/modules/$(KVER)/build
 MODDESTDIR := /lib/modules/$(KVER)/kernel/drivers/net/wireless/
 INSTALL_PREFIX :=
 endif

また、本デバイスのデバイスIDをドライバソースコードに追加する必要があります。
os_dep/linux/usb_intf.cを編集し、RTL8821Aの項目にデバイスIDを追加登録してください。

#ifdef CONFIG_RTL8821A
        /*=== Realtek demoboard ===*/
        {USB_DEVICE(USB_VENDER_ID_REALTEK, 0x0811),.driver_info = RTL8821},/* Default ID */
        {USB_DEVICE(USB_VENDER_ID_REALTEK, 0x0821),.driver_info = RTL8821},/* Default ID */
        {USB_DEVICE(USB_VENDER_ID_REALTEK, 0x8822),.driver_info = RTL8821},/* Default ID */
        /*=== Customer ID ===*/
        {USB_DEVICE(0x7392, 0xA811),.driver_info = RTL8821}, /* Edimax - Edimax */
        {USB_DEVICE(0x04BB, 0x0953),.driver_info = RTL8821}, /* I-O DATA - Edimax */
        {USB_DEVICE(0x2001, 0x3314),.driver_info = RTL8821}, /* D-Link - Cameo */
        {USB_DEVICE(0x2001, 0x3318),.driver_info = RTL8821}, /* D-Link - Cameo */
        {USB_DEVICE(0x0E66, 0x0023),.driver_info = RTL8821}, /* HAWKING - Edimax */
        {USB_DEVICE(0x2019, 0xAB32),.driver_info = RTL8821}, /* Planex - Abocom */
#endif

変更後、make および installを行います。

# make install

デバイスをUSBポートに差し込めば認識します。
デバイスは、/dev/wlan0となります。

起動時に立ち上がらない場合は、
/etc/modulesに
8821au
を追加してください。

本ドライバは、そのままmake するとデバッグメッセージをconsoleに表示しますので、console作業等で気になる場合は、include/autoconf.hにおいて、DEBUGもしくはDBGと書かれたdefine行をコメントアウトすることにより抑止出来ます。

2. wpasupplicantパッケージの導入および設定


以下の記事を参照して下さい。

[.tested] Logitec LAN-W150N/U2WH(BK) 無線LANアダプタ [AX3]

本製品は5GHz帯専用の製品ですので、AP側も対応したものを使用する必要があります。

以下の通り、クライアントモードでの動作を確認しました。

# ifconfig wlan0
wlan0     Link encap:Ethernet  HWaddr 00:22:cf:eb:8d:2b
          inet addr:192.168.10.107  Bcast:192.168.10.255  Mask:255.255.255.0
          inet6 addr: fe80::222:cfff:feeb:8d2b/64 Scope:Link
          UP BROADCAST RUNNING MULTICAST  MTU:1500  Metric:1
          RX packets:19492 errors:0 dropped:3063 overruns:0 frame:0
          TX packets:2187 errors:0 dropped:4 overruns:0 carrier:0
          collisions:0 txqueuelen:1000
          RX bytes:172328795 (164.3 MiB)  TX bytes:4108434 (3.9 MiB)

# iwconfig wlan0
wlan0     IEEE 802.11an  ESSID:"******"  Nickname:"<WIFI@REALTEK>"
          Mode:Managed  Frequency:5.18 GHz  Access Point: 00:1D:73:C2:F2:A0
          Bit Rate:150 Mb/s   Sensitivity:0/0
          Retry:off   RTS thr:off   Fragment thr:off
          Encryption key:****-****-****-****-****-****-****-****   Security mode:open
          Power Management:off
          Link Quality=48/100  Signal level=56/100  Noise level=0/100
          Rx invalid nwid:0  Rx invalid crypt:0  Rx invalid frag:0
          Tx excessive retries:0  Invalid misc:0   Missed beacon:0

3. さいごに


今回は、クライアント接続のみのテストとしています。
AP化や、WPSボタンの使用方法に関しては、前回の記事を参考に試してみてください。